最高裁判所第二小法廷 昭和28年(オ)570号 判決 1955年1月28日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人中島宇吉の上告理由について。
上告人は本件において強制執行自体の無効確認(しかも右強制執行は未だ完了して居らないと主張する)を求めるものであつて、現在の権利又は法律関係の存否の確認を求めるものでないことはその主張自体に徴して明らかである。さればこの点において、本訴は確認判決を求める要件を欠くものであるとし(一方一旦適式に成立した調停調書に基く強制執行は、その調書の執行力が正規の手続に従つて排除されない限りこれを無効とすべきでないとし)て、上告人の右請求を排斥した原判決は正当である。(論旨引用の判例は、競売法に基く競売の効力に関するものであり、その訴旨は競売の無効を原因として株式の帰属に関して権利の確認を求めるものと解すべきであるから、本件に適切でない。)
その余の論旨は「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎 裁判官 池田克)